あんとパン

あんとかパンとか。

「103万円の壁」崩壊後に起こること

控除の縮小・廃止を、よいことのように語られることがある。

政府税調:配偶者控除「103万円の壁」見直し議論開始
http://mainichi.jp/select/news/20140415k0000m020067000c.html

その一つが、上のリンクにある配偶者控除だ。いわゆる「103万円の壁」のもととなる仕組み。上の記事でも「女性の社会進出の妨げになっている」「女性の就労拡大の阻害要因になっている」と、散々な言われ方をしている
「130万円の壁」も同様。縮小・廃止されると社会保険料が実質増税となるのに「働きたいのに働けない女性を救うため、廃止を」とよいことのように語られることが多い。

配偶者控除が縮小・廃止されるとどうなるか。ざっくりいうと「専業主婦がいる世帯の所得税が増える」ことになる。

税金が増えたらどうするか。支出を減らしつつも収入を増やす方法を考える、という方法が一般的だろう。
「103万円の壁」で"守られてきた"パートなどで働いている人は、週3日のシフトを週4日に増やせないか上司に打診したり、他のパートとの掛け持ちを考えたりする。
働いていない人は働かざるを得なくなる。政府の掲げる「眠っている主婦の力を活かす」という目論見通りの展開になるだろう。

でもそううまくいくだろうか。
たとえば待機児童の問題。都市部の各自治体は「待機児童ゼロ」を競っており、解消されつつある問題にように見えるけれど、
待機児童の数は「自治体に対して保育園の申し込みをした人」で計算される。
うちの条件では難しいだろうと認可認証保育園をあきらめて申し込んでいない人、専業主婦のため家で乳幼児を見ることができるなどの理由で申し込んでいない人は含まれていない。
働いていない人が働かなければならない状況になると、申し込みが増える。だけれど急に受け入れ人数は増えない。
働きたいのに乳幼児を預けることができず働くことができない、という人が顕わになってくるだろう。また幼稚園から保育園に転園を考える人も増えることも考えられる。幼稚園は保育園より預かることができる時間が短いケースがほとんどのため、働く時間を増やすためには転園も視野に入ってくる。

待機児童の問題は乳幼児をもつ世帯に限ったことだけど、子供がいない世帯・子供が小学生以上の世帯の主婦も同様に、「働きたいのに働けない人」としてお尻を叩かれる。

そしてこれから結婚を考えている女性は、主婦の選択が難しくなる。主婦人気が高い今、共働きになるくらいなら結婚はまだ先でいいや、と考えるかもしれない。

その結果どういうことが起こるだろう。

配偶者控除の縮小・廃止のために犠牲になるものは、主婦世帯の家計費だけではないということを、もっと語ってほしいと思う。